In-house AI Development — Vol.06

サーバ管理から経営者を解放する
— なぜAWS Fargateを選ぶのか

AIエージェント内製化

内製したものを社内で使い続けるには、それを動かし続ける土台が要ります。ここで自前サーバや常時稼働のサーバを選ぶと、保守・障害対応・セキュリティ更新という運用がまるごとついてきます。少人数で内製を始めたばかりの会社に、24時間のサーバ当番は重すぎます。AWS Fargateは、サーバの面倒を見ずにコンテナを動かす仕組みです。

サーバを持つと、運用と当番がついてくる

サーバは、置いて終わりではありません。買って設置した瞬間から、それを動かし続ける責任が始まります。アプリを動かすための土台が止まれば、その上で動いていた業務もまとめて止まります。問い合わせの返信案を作るAIも、社内の検索を助けるAIも、土台が落ちていれば誰も使えません。

やっかいなのは、サーバが止まるのに時間を選んでくれないことです。深夜でも休日でも、止まったら誰かが気づいて、原因を探り、復旧させなければなりません。少人数の会社では、その「誰か」が経営者やたった一人のエンジニアになりがちです。動かし続ける責任とは、平たく言えば24時間の当番を抱えることなのです。

自前サーバ・常時稼働サーバを選ばない理由

自前のサーバや、常時稼働させ続けるサーバを土台に選ぶと、次の四つが必ずついてきます。少人数で内製を始めたばかりの会社にとって、これは想像以上に重い負担です。

一つ目は、ハードとOSの保守です。機器は経年で壊れますし、OSやミドルウェアも放っておけば古くなります。動かし続けるだけで、点検と更新の手間が発生し続けます。二つ目は、障害対応です。先に述べたとおり、止まれば時間を問わず駆けつける必要があります。

三つ目は、セキュリティ更新です。サーバを外につなぐ以上、脆弱性が見つかるたびに対処しなければ、会社全体を危険にさらします。これは終わりのない作業です。四つ目は、その全部を24時間引き受けるという責任そのものです。アプリを作る人と、土台を守る人が同じ少人数だと、開発に使える時間がそのまま削られていきます。

Fargateとは、サーバの面倒を見ずにコンテナを動かす仕組み

前回お話ししたコンテナを覚えているでしょうか。アプリと、それを動かすのに必要なものを一つの箱にまとめ、どこでも同じように動かせるようにした仕組みです。AWS Fargateは、そのコンテナを「サーバを用意せずに」動かせるようにするサービスです。

従来であれば、コンテナを動かすにも、その下にサーバを一台用意し、保守し、更新し続ける必要がありました。Fargateを使うと、その下のサーバの調達も保守も更新も、すべてAWS側が引き受けてくれます。利用する側は「このコンテナを動かしてほしい」と渡すだけで済みます。

つまり、自社が向き合う相手はアプリだけになります。サーバの機種を選ぶ、OSを更新する、夜中に駆けつける、といった土台の世話から解放され、限られた人員を本来やりたい開発に集中させられます。技術的な細部はAWSに任せ、こちらは「何を動かすか」だけを考えればよくなるわけです。

Fargateを選ぶ判断軸

経営者として、Fargateを選ぶかどうかを判断する軸は、技術の優劣ではありません。自社の今の段階に合うかどうかです。次の四つの観点で見ると、中小企業が内製を始める段階によく合います。

一つ目は、管理工数の少なさです。サーバの保守や当番がいらない分、人手を開発に回せます。二つ目は、使った分だけのコストです。常時稼働させ続けるのではなく、動かした分に応じて費用が決まるため、小さく始めれば費用も小さく済みます。

三つ目は、必要に応じて広げられることです。利用が増えてきたら、規模を後から大きくできます。最初から大きな設備を抱え込む必要がありません。四つ目は、小さく始められることです。まずは一つの機能を載せて試し、手応えを見てから広げる、という進め方ができます。内製を始める段階で求められるのは、まさにこの「小さく、軽く、後から伸ばせる」土台です。

外部に発注しないなら、なおさらサーバ管理は持たない

自社で内製するということは、開発に使える人手が社内に限られているということでもあります。その限られた人員を、何に充てるべきでしょうか。答えははっきりしています。アプリの開発です。会社の業務を楽にする機能を、一つでも多く作ることです。

その貴重な人員を、サーバの保守やセキュリティ更新、夜中の障害対応に割くのは、もったいないことです。外注しないと決めたからこそ、社内の手は守りではなく攻めに使うべきで、土台の世話は仕組みに任せてしまうのが筋です。Fargateは、まさにその選択を支えてくれます。

サーバを持たない選択は、手抜きではありません。少人数で内製を続けるための、合理的な経営判断です。

まとめ

サーバを自前で持てば、保守・障害対応・セキュリティ更新という運用と、24時間の当番が一式ついてきます。少人数で内製を始めたばかりの会社に、これは重すぎる負担です。AWS Fargateは、その土台の世話をAWSに任せ、コンテナをサーバ管理なしで動かせる仕組みです。管理工数が少なく、使った分だけの費用で、小さく始めて後から広げられます。外注しないと決めた会社こそ、限られた人員をアプリ開発に集中させるために、サーバ管理は持たないのが合理的です。次回のVol.07では、内製と外注の実コストを、外注見積もりとFargate内製で構造的に比較していきます。

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よくある質問

Fargateは高くありませんか?
使った分だけの課金で、小さな機能であれば月数千円規模から始められます。実際の費用は利用量や構成によって変わりますが、常時稼働するサーバの維持費や、運用にかかる人件費まで含めて考えると、かえって割安になりやすい選択です。
サーバを自前で持つメリットはないのですか?
大規模なシステムや特殊な要件では選択肢になります。ただし、中小企業が小さく内製を始める段階では、サーバ管理の工数の重さが上回ることが多く、まずは管理の要らない方法を勧めます。
AWSの知識がないと使えませんか?
最初の設定には学習が必要です。一方で、一度組んでしまえば運用の手離れがよく、サーバの保守やセキュリティ更新をAWS側が担う分、少人数でも回しやすくなります。
障害が起きたら誰が対応しますか?
サーバのOSやハードの保守はAWS側が担います。アプリそのものの不具合は自社で対応しますが、サーバ当番のような24時間の運用からは解放されます。
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